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撮る人から、つなぐ人へ。 写真家・山口郁子が記録する与那原

撮る人から、つなぐ人へ。 写真家・山口郁子が記録する与那原

■プロフィール

山口 郁子

プロフィール画像

山梨県甲府市生まれ
立命館大学文学部 卒業

与那原町を拠点に、町づくりを学びつつ作品を発表する。
那覇市のフォトギャラリー「Foto Space Reago」を共同運営中。

公式ウェブサイト

与那原の風景

県外から与那原へ移住し、 現在はこの町を拠点に写真家として活動する山口郁子さん。
観光地として切り取るのではなく、 生活の中にある光や時間を写し取る視線は、 与那原という町の「いつもの風景」を、 少しだけ違って見せてくれます。

■Interview

Q1. 県外から沖縄、そして与那原町に移住された経緯を教えてください。

小学生の頃、日本地図を見ることが好きでした。その時に自分の町とは違う、海に囲まれた島があるのを知って沖縄に興味を持ちました。実際に修学旅行で訪れた時、写ルンですで撮影したハイビスカスと海が写っている写真が忘れられなくて移住を決意。2007年6月に名護市に移住し沖縄生活が始まりました。与那原町への移住は結婚がきっかけです。お互いが通勤しやすい場所を探していて、いくつかの町で検討しましたが2014年に与那原町に決めました。決定打は静かで海の見える部屋があったことです。

Q2. 初めて与那原を訪れたとき、どのような印象を持ちましたか?

仕事が中心の家庭だったので、平日は都市部にある職場と自宅の往復で、休日は別の町へ写真を撮りに行く、ほとんど自宅にいることもなければ町の行事も(綱曳も!)知らないし、行くという選択肢もなかった。買い物は近くでできるし、他の町へのアクセスもしやすい、便利な町というイメージでした。

Q3. 実際に暮らし始めてから、その印象は変わりましたか?

印象がガラリと変わったのは、コロナ禍がきっかけです。写真を勉強するため京都に短期移住していたときコロナ禍を経験しました。思うように写真が撮れなくなり、仕方なく住んでいた町の周りを撮り始めたときに、地域の人と出会い地域の面白さを知りました。
そういえば私は住んでいる与那原町のことを全く知らなかった、と気づき、移住を終え戻ってきた時に、町を撮ったり図書館で調べたり、地域の行事に参加することを始めました。この町にも歴史や文化がありそれを繋いでいきたいと願う人達がたくさんいることを知りました。地域の話を聞くと新しく知ることがたくさんあり、学びにもなります。
以前までは町の恩恵にただ乗っかっている印象でしたが、今では町を知り町に関わるフェーズに変わってきた気がします。

Q4. 写真家として、与那原は「撮りやすい町」だと思いますか?

撮りやすい町だと思います。
例えば、与那原大綱曳は本番に向けて町の人達が何カ月も前から準備しています。準備に向けて大忙しなので、記録を撮ることができないというのを耳にしたことがあります。またエイサーも青年会やOBたちは自分たちの演舞を記録することもできません。そういうときに、その姿を撮ることが私のできることなのかなと思っています。はじめは写真を撮らせてくださいと勇気を出して声をかけましたが、みなさん優しく受け入れて下さってとても感謝しています。

Q5. 与那原でよく行く場所、好きな時間帯、好きな撮影対象があれば教えてください

町の人達が集まって賑わっている場所が好きなので新島の飲食店によく行きます。最近では他愛もない話ができる人達もできたのでとても楽しいです。また本土から与那原へ戻ってきた時に必ず行くのは与那原家。あの沖縄そばを食べないと帰ってきた気がしない。
なにか撮りたいなと思った時に足が向くのは当添漁港です。以前、長い大雨のあとに晴れた漁港で写真を撮っていたらいつの間にか3時間たっていたという時がありました。与那原の夕暮れも好きで、夕日が水路に反射している姿や赤く染まる海の姿は、ついつい撮影してしまいます。

Q6. 町内のカフェや綱曳資料館など、与那原で展示を行うことに、特別な想いはありましたか?

カフェで初めての展示をしたときには、大綱が他の町へ引き継がれていく様子を展示しました。次の年は、はじめの儀式から撮影させてもらい、それを展示しています。また、町に住んでいる人にも協力してもらい、一緒に陶器を飾ったり、デザインをお願いしたり、額を制作してもらったり、町の魅力も一緒に伝えられたらという気持ちがありました。資料館は、展覧会を通じて綱曳のことも知ってもらえるチャンスでもあったので、町外の方にも声をかけました。本番の姿ももちろんですが町が一体となってやっていることや、それが引き継がれていく姿を残したいという気持ちが強いです。

Q7. これからどんな与那原を撮り続けていきたいですか? 

今後もたくさん町を歩き自身の写真で町の魅力を伝えたいことも頑張りたいひとつですが、写真やアートで町を盛り上げたいという密かな野望もあります。たとえば、与那原写真部のようなコミュニティーをつくってゆるーく活動したり、こどもたちと一緒になってなにかを作ったり、町の人がワクワクするようなことを一緒になって作っていけたらいいなと思っています。